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introduction

「長船恒利 眼の眺め」によせて

長船恒利の写真を見ることにつき纏うある種の戸惑いをどうやって表現することができるだろうか。
鑑賞者の視線は焦点を結ぶべく対象を探して虚しく写真の表面を走査するばかりだ。
そのうちに「魚竹寿司」、「すずろく」といった看板に記された文字たちが自己主張を始め、ついには写真表面に転写されたすべてのものたちが語り始める。
こうしたものたちの叛乱は人とものの関係性のヒエラルキーを揚棄することによってはじめて生じる。
すべての価値を拒絶する視線のあり方こそが不可視の領域への跳躍を可能にする。
「そのときものは光を放ち始める。」
それが長船恒利の「眼の眺め」のレッスンだ。

 

作家・長船恒利は写真、パフォーマンス、コンピューターアート、彫刻という芸術ジャンルを横断的に越境したアーティストです。また、中欧モダニズムについての先駆的な研究者、そして、地元静岡における芸術活動の熱心なオルガナイザーでもあり、かつその記録者という一面をも併せ持っていました。この展覧会は、比較的よく知られている長船の写真作品を幅広く紹介することによって、将来的に長船の芸術活動の全体像を明らかにするという目的の最初の試みです。また、長船恒利の活動の軌跡は、戦後日本の地方都市という時空間において、ひとりの作家がどのように自己形成を遂げ作品の制作を行って来たのかの雛形でもあります。長船恒利の活動を振り返ることは、既存の芸術観や価値観をもう一度問いかける機会と言えるでしょう。

会期:平成25年11月12日(火)〜 24日(日) ※11月18日は休廊
会場:OGU MAG 東京都荒川区東尾久4-24-7
   Gallery RAVEN 東京都杉並区下高井戸1-20-8
開館時間:13:00 〜 19:00
関連イベント:
11月22日 18:30 料金500円 Gallery RAVEN
トーク 「回想の長船恒利」 浜昇(写真家)・寺田篤正(写真家)・小林耕二(東欧文化研究)

11月23日 18:00 料金500円 OGU MAG
トーク 「長船恒利と東欧モダニズム研究」 小林耕二(東欧文化研究)
 

OGU MAG : 写真作品「在るもの」(1978/86) 15点
OGU MAGでは、長船の代表作品・写真集「在るもの」に掲載された作品を展示します。「在るもの」シリーズは、日常の見慣れた地方都市の風景を主観を極力排したカメラの眼で捕らえることで、人の視覚を遮断し、ものそのものの存在を浮かび上がらせる手法で撮影されています。鑑賞者に対して一切の感情移入を拒絶するその作品は「写真論写真」の極北として屹立しています。

Gallery RAVEN : 写真作品「在るものⅥ」(1979)24点、写真作品「Landscape」(1982/89)、「traverse」(2001/02)から数点。彫刻作品数点。
Gallery RAVENでは、写真集「在るもの」に収録されることのなかった沖縄で撮影された「在るものⅥ」を展示します。「在るものⅥ」は、1979年3月30日〜4月3日のあいだに沖縄・ダイナハで催された「視覚の現在’79 写真展/ぬじゅんin沖縄・大和」の会期中に長船が撮影した沖縄の光景から構成されています。長船の「在るもの」からの転回を示す貴重な作品である「在るものⅥ」と、自然の風景を題材とした「山境横断」「traverse」は長船の作家生活の後半生を振り返る手掛りを与え、晩年の彫刻作品へと至る道程を跡づけることを可能にします。

フライヤーはこちらから。

 

news

2013.11.24
大日方欣一のテキスト「長船恒利「在るもの」をめぐってー2013年8月24日 四谷ひろばでのレクチャーー」を掲載しました。
2013.11.20
本展覧会に合わせて「眼の眺め」長船恒利・資料集が発売されます。
11月22日発売開始予定、定価1000円。
通販でも受け付けております。申し込みは
osafunetokyo@yahoogroups.jp
まで。
2013.11.8
関連イベントの詳細を追加しました。
2013.10.21
「長船恒利 眼の眺め」ウェブサイトの公開を始めました。

 

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長船恒利(おさふねつねとし OSAFUNE Tsunetoshi)

1943 北海道小樽市に生まれる。
    小学生の頃から写真を撮り始める。
    写真とともに動植物に興味を抱き採取や飼育に励む。
1964 北海道大学工業教員養成所電気工学科卒業。
1964 静岡県の高等学校教員になる。奥天多恵子と結婚。
1969 胃潰瘍の手術。ガン細胞が見つかる。
1970 胃の再手術。
1974 藤枝に土地を購入、家を建てる。
1974 3回目の手術で胃を全摘。抗ガン剤治療後、社会復帰。
1974〜 島田事件対策協議会に参加。免罪事件の救援活動を行う。
    (主たる活動期間は1983年まで)
1974〜 表現活動を始める。藤枝の地下道壁面に無許可で写真を発表。
1975-77 『集団GIG』結成に参加、さまざまな場で写真展開催。
1977-79 《在るもの》シリーズを、東京、弘前、静岡他で発表。
1980-84 ジャズ喫茶JuJu(静岡)を拠点に写真活動を展開。
1982-89 音のパフォーマンスをくり広げる。
1985-02 『静岡写真フォーラム’85』から『フォトセッション展』に至る静岡での一連の写真展活動に参加。
1985 『つくば写真美術館’85』(つくば)
1986 『現代日本写真展』(バルセロナ他巡回)
1986-94 コンピュータアートに取り組む。
1988-95 『A-Value展』創設に参画。実行委員として活動。
1990 筑波大学大学院工学研究科(情報工学)に内地留学。
1991 静岡大学教育学部非常勤講師(情報教育:2000年まで)
1994 『偏在する波動展』(マニラ)
2000 『日本:写真のコントラスト展』(カンヌ)
2000-08 静岡理工科大学非常勤講師
2003 県立高等学校教員定年退職
2003-08 中央のモダニズム研究に取り組む。
2004-07 ギャラリーCAVEの企画・運営に参画。
2005 個展『ヤロミール・フンケにさそわれて』(浜松)
2005 石の彫刻を始める。
2007-08 『静岡アートドキュメント』に実行委員として参画。
2008 個展『彫刻の仕事』(藤枝)開催。
2007 『カメラがとらえた日本』(上海)
2008-09 腎臓ガン発覚。闘病生活のなかで彫刻制作を続ける。
     2009年12月24日、永眠。

主な個展・グループ展

1974-76 地下道写真展(藤枝)
1975 前鬱空間(藤枝)
1977 無実の赤堀政夫を殺すな(東京)
1977-79 在るもの(東京、弘前、浜松、藤枝)
1980 STRUCTURE(東京)
1980-81 snap photographs(静岡)
1982 見ることの記述(静岡)
1983 山境横断(静岡)
1983-88 Landscape(静岡、清水、伊東)
1985 つくば写真美術館 ’85
1988-95 A-Value展(静岡県立美術館)
1989 コンピュータはアート(静岡)
1991 在るもの(東京)
1991,97 記憶の光景(静岡)
1994 遍在する波動展(マニラ)
2000 Praha 2000(静岡)
2000 日本:写真のコントラスト展(カンヌ)

パフォーマンス

1982-83 音の記述
1985-89 hyper wave voice

研究

映像作品制作研究
 *チェコ・スロヴァキア映像史研究
 「ヤロミール・フンケとチェコ・モダニズム」
 「スロヴァキア・デザインのモダニズム」

出版物

視覚の現在(PUT, 1979)
A-Value展記録集1~8(A-Value, 1988-96)
在るもの(FROG, 1991)
A-Value展資料集(A-Value, 2003)
snap photographs (2003)
Landscape (2004)

※年譜作成/白井嘉尚

 

link

大日方欣一「長船恒利「在るもの」をめぐってー2013年8月24日 四谷ひろばでのレクチャーー」